まぐろ漁船日記⑨(2000年当時)

満を持して・・

その日の私の怒りは
頂点に達していた。

そう、お湯で言うなら
100℃を超えてる状態だ!

ぐつぐつ

一日16時間~20時間以上働き
当初決められてた、月給25万+漁獲高の歩合。
しかし何故かそれが15万、そして次の月は14万..

時間給にすると

えーと..

150000÷24(日数)÷18(時間)=390円(小数点以下切捨て!)
   (港に居る日は、市と雑用の用事位なので)
140000÷24÷18=324円(小数点以下切捨て!)

なんと、時給324~390円ではないか..

命懸けで、これとは。。(くぅ・・)

当時、私は大阪に借りていたマンションの家賃と
学生時代の学資ローンを返済していたので

とても、お金も貯まらないし
やってなどおれない。

という事で私は
ついに辞める(船を降りる)決心をした。

しかし、相手は
ゴミを平気で海に捨てて、魚が減ったと嘆いたり
天然記念物のマンボウを、美味しく頂いてしまう連中だ

油断はできない。

海の上で奴等を怒らせれば
最悪、殺される。証拠も残らない。

闘うなら陸しかない。

しかも、素直に辞めさせてくれるとも限らない
しかし、無断で辞めるのは私のプライドが許さない。
周到な準備が必要だ。

そこで私は
「辞める」と伝える前に
事を伝えて、すぐに船を降りれるように

前日に
荷物をこっそり船から運び出す事にした

でも、もちろん置く場所などないので
近くのコインランドリーに積み上げておいた。

今考えると
何の変哲もない「コインランドリー」に
本を中心とした荷物が積み上げられてるのだから

異様な光景だ。

そして、いざ決戦の日

辞めると言い出す前に
何故か機関長がコインランドリーに行こうと誘ってきた

でも、まあバレる事はないだろうと
タカをくくった私は、余裕で承諾したが

ランドリーに着くや、不審顔の機関長。

「あれ、あの荷物、どこかで見た事がある気がするんだけどなぁ・・」

気付かない。
かろうじて、気付いていない!!

阿保で助かった。

ゴミを捨てる奴で助かった。
マンボウを食う奴で助かった。

そして私は、船に戻ったあと

船長に辞めると伝えたのでした。

   

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