まぐろ漁船日記⑥(2000年当時)

とりあえず
何気な漁師な日常な
感じでいきたいと思います。

ゴミはごみ箱へ

◯月◯日 晴れ

漁を終え、再び漁へ
港を出て新たな漁場へ
しかし
港を離れてしばらくすると
漁師のオッサンの不穏な動き

ゴソゴソと取り出してきたのは
色んなゴミ。ごみ。ゴミ。

生ごみ
ペットボトル
布団
電気ポット
テレビ等など・・

それらを順に
海へ捨ててゆく

何故なら、港で捨てると
お金がかかるからだ!

焦る私を尻目に
次々投げ込まれるゴミ。ごみ。ゴミ。

罪悪感などは
全くないようだ。

そして、その日の晩
晩御飯を囲みながら
漁師のオッサンの一言

「最近、魚少なくなったなぁ~
なんでやろう?」

俺は思った。
こいつら絶対、頭悪い。

乾坤一擲

△月△日 曇り

今日は魚があまりとれなかった。
ここ数日は、不調なようだ

晩御飯を囲みながら
船長がボソッと独り言を言うのが
聞こえた。

(明日は勝負に出てみるか・・。 船長)

翌朝起きると

空が紫色だった。

ここは何処なんだ・・。
波はビルの2~3階位の高さまで上がり
同じような波の隆起がいたる所にある

そんな波に船が持ち上げられ
一気に下へ落ちる。

オッサンたちの足場には
滑り止めのゴムがあるが
私にだけ何故か無い。

船が傾く度に転ける

たまに頭からスライディングする。
道具箱にも突っ込む
ちなみに道具箱には
・ノゴギリ
・キリ
・包丁
等が入っている(どれもムキ出し)

でも40回位こけたあたりから
慣れて上手くなってきた。
道具箱にスライディングしても
へっちゃらです。

そしてそれが
今のプロレスにも

若干生きているようです。

忠告は無意味

▲月▲日 雨

漁にでる前
不安だったので
聞いてみた。


「あの~
もし鮫とか釣れたら
どうしたらいいんですか?」

機関長
「危ねえから、お前は下がっとけ」

そして鮫が釣れた
そして機関長は言った

機関長
「何やってんだ!早く(鮫の)上に乗れ!!」

見よう見まねで
鮫に馬乗りになり
頭を包丁で切って
針金で脳をぐりぐり

その後は鮫が釣れても
大丈夫でした。

食べちゃだめでしょ

☆月☆日 快晴

のんびりした波の日
マンボウが釣れた。

天然記念物
初めて見るので
物珍しがって喜んでいると

漁師のオッサンも喜んでる。

やはり皆珍しいんだなと
思っていると

晩御飯に出てきた。マンボウが。

そういう事でしたか・・。
今までの経験から
もっと漁師のオッサンの思考を
理解しておくべきでした。

マンボウは珍味なのだそう。

しかし印象的だったのが
大概の魚は釣られると
甲板で跳ねて暴れる
命の危機なのだから
もちろん当然だろう。

しかし奴(マンボウ)は違った

微動だにせず
まったく動かない。
そして目だけこちらを見て

「もういいよ・・。
はやく楽にしてくれよ・・。」

的な感じで
完全に諦めた目をしている。
ある意味潔い。

肌は鮫と同じような感じで
食感はまるで

味の無い「こてっちゃん」を
食べてるようだった。

えっ!?食べるの?

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